開発秘話
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「エイクレス」開発の裏側 夫婦二人三脚の物語
歯を削るときの痛みや不快感の軽減のために、何かできることはないか。工学博士の夫、隈部淳一郎と歯学博士の妻、隈部まさるが、それぞれ専門の立場からアプローチして共同開発したのが「エイクレス」です。(あなたは考える人、私は手を使う人) 振動切削を研究しその理論が世界に認められていた教授は大の歯医者嫌い、治療する際のその時代の機械で歯を削るという事は、切削の第一人者である教授には耐えられるものではなく、注射も嫌い、削られるのも嫌い。続けなくてはならない本来の研究と並行して、痛みの軽減の為に、生理学から解剖学まで良く勉強した。 理科学研究所からの援助もあり、超音波振動によるエイクレスの開発を進める中で、人間の持つ臓器や歯の一本一本の固有振動数を、気の遠くなる程の時間をかけ計算し、心臓の固有振動数に合わせ周波数と振幅を決定した。
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一方、歯科医は機械の不具合で常に故障と修理を繰り返している機械に対して、「なんとも思わない」だから作るならば「絶対修理しない、故障しないもの」を作ってと要求した。研究者と物作りの隈部は全力でエイクレスに取り組んだ。 その間に冷却をしながら切削する事に成功した。世界で初めての冷却切削であり、帝国エンジンに進言し、以後、現在のエンジンタービンの先がけになって発展していった。 「エイクレス」は医療器械なのに、どうして黒い箱型をしているのでしょうか。それは、淳一郎が生前遺した言葉からわかります。「歯科医がこの振動を利用し治療することで、患者さんにどれほどの喜びをもたらすか。このブラックボックスからさまざまな利用法を引き出して、何に効果があるのかを検証していくのは、あなたたち歯科医にかかっている」。歯科医の力を信じて、これを託したのです。
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淳一郎は「この振動はいつか医科の研究者に取り上げられ、福音をもたらすだろう」とも言っていた。今、医科では痛みを取るために振動を利用する時代になっています。“振動”を送って足や腰の痛みを止めることが医学界の常識になったのです。 2人の想いは、「幸せを運ぶ振動」として「エイクレス」というカタチになり現在全国の歯科医600人程が患者と共に安心して使用しています。